従業員にスキルを再習得させ、新しい業務や職種を目指すこと
一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブ代表理事 後藤氏によると、リスキリングとは、「新しい業務や職種に就いてもらうために、社員に新しいスキルを再習得させること」という意味があるとされており、組織変革を実現するために行われます。
経済産業省(2021)によると、近年では特にデジタル化と同時に生まれる新しい職業や、仕事の進め方が大幅に変わるであろう職業につくためのスキル習得を指すことが増えてきているとのことです。そのため、リスキリングは、スキルの中でもDXや第4次産業革命といった社会の変化に対応するための知識や技術の学び直しを指すという認識が広がっています。
リスキリングには、様々なメリットがあります。
リスキリングにより新たなスキルや知識を習得することで、仕事の効率や質が向上するとされています。
リスキリングを通じて、チームや組織全体の知識や視点の幅が広がります。社内で新しいアイデアが生まれる文化ができると企業の競争力向上にも結び付きます。
企業がリスキリングを推進することによって、社員に成長の機会を提供することになり、社員の意欲向上に繋がり易いと考えられているため、モチベーション低下による離職率の減少が期待できます。
2018年には、世界経済フォーラムにおいて「2022年に全労働者の54%以上が大幅なリスキリングを必要とする」という調査結果が発表されています。国内においても、2030年までの向こう10年以内に事務職や生産職の数百万人規模の大幅な余剰が生じる一方、デジタル人材をはじめとした専門・技術職は同程度以上が不足すると予測されています(三菱総合研所,2020)。
そのような背景もあり、2022年10月に岸田首相は、総合政策の中にリスキリング支援を盛り込む考えを表明し、2023年6月の閣議決定では、働く人のスキルアップを通じて日本の企業や経済を活性化する方向性が発表されました。
自社の事業の方向性に求められるスキルを検討し、優先順位をつける。
役職や職種ごとに求められるスキルを整理し、層別にリスキリングのスキル定義を行う。
デジタルや横文字に対して苦手意識を抱いている人も少なくないため、リスキリングを前向きに受け止めない人が一定数いると思いますが、従業員に「なぜリスキリングが必要なのか」を明確に伝え、その目的や意図を理解してもらうことが重要です。
自社の今後の事業戦略に紐づけながら、従業員にリスキリングの必要性を定期的に発信する
従業員が自分事としてリスキリングの重要性を実感できるように発信する
リスキリングを実現できるように学習カリキュラムやサイクルを構築する
現状の課題や今後の事業戦略をもとに、効果的な教育カリキュラムを考えることが重要です。社内研修やオンライン学習、ビジネススクールなど様々な手段があります。自社で行うことが難しい場合は外部に委託することも新たな視点で学びを得ることができるのでオススメです。
【参考サイト】
経済産業省「第2回デジタル時代の人材制作に関する検討会」
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_jinzai/pdf/002_02_02.pdf
三菱総合研究所(2020)「目指すべきポストコロナ社会への提言-自律分散・協調による「レジリエントで持続可能な社会」の実現に向けて」
https://www.mri.co.jp/knowledge/insight/ecooutlook/2020/20201019.html
エコーステーションの実例をご紹介します。
023年9月~10月の計6日間、外部の講師を招いてDX研修を実施しました。
経理財務や人事業務などバックオフィス業務やマーケティング、今話題のM365などについて学びながら、後半では事業戦略を立てるという研修内容で行いました。外部講師にアドバイスいただきながら、今までと異なる視点を持つことが出来たり、社員同士の結束力を高めることもできました。
弊社では、四半期に一度希望者を募って「リスキリング研修」を実施しております。
最近は新規事業のアイデア出しをしたり、7ストラテジーについて考えてみたり、生産性向上について学んだりしました。参加者にはリスキリング手当も支給し、従業員のスキルアップを通して企業成長の実現を目指しています。